スポーツコミッション

ツーリズム

スポーツコミッションで飯は食えるか?

こんな方におすすめ

  • スポーツコミッションについて知りたい方
  • スポーツコミッションをこれから開始される方
シンイチ
スポーツコミッションという組織が立ち上がったみたいだね
博士
まちも企業も連動して誘致しないと新しい動きは作れないからね

日本を観光で立て直すという大号令の下、スポーツ界でもスポーツツーリズムや、スポーツコミッションという言葉が聞かれ始めました。

スポーツ庁が推し進めるスポーツコミッションとは何なのでしょうか?その背景と可能性は。そして、みんなが知りたいその道でご飯を食べていくには、どんな能力を生かすのがいいか考えてみます。

スポーツコミッション とは?

sports comission = スポーツの委員会。自治体と民間企業が一緒になって行動するグループ。

スポーツを通じた地域振興を目指す組織。スポーツ大会やイベント、合宿の誘致、スポーツを通じた交流促進等による地域活性化と市外からの誘客を目指す官民一体型の専門組織で、地域におけるスポーツ振興、スポーツツーリズム推進のために、地方公共団体、民間企業(スポーツ産業、観光産業など)、各種団体等が連携・協働して取り組む。

東京オリンピックの誘致の地方版

オリンピックなどの超大型イベントであれば、日本人はもちろんのことながら、外国から多くの観光客が日本・東京を訪問し、スポーツ観戦し、東京を楽しむ。その経済効果は30兆円ともいわれる。

経済効果がわかっているから、誘致活動に首相や大臣や知事や自治体や議員や住民や民間企業や社員やメディアも含めてみんなで誘致活動をして勝ち取った。スポーツコミッションはこの地方版と考えればわかりやすい。

スポーツイベントを誘致すれば、選手を中心に、ファンも都市にきて、宿泊し、食べて、お土産を買っていくから、お金が循環する。それを大から小まで、地方レベル、県レベル、市レベルで行う組織がスポーツコミッションである。

こうして日本にはスポーツコミッションが立ち上がっているのである。

日本の先駆けはさいたまスポーツコミッション

市内に、大宮アルディージャと浦和レッズという2つのJリーグがあり、早くからスポーツが町の活性化に生きると実感。2011年には、さいたまスポーツコミッション(SSC)を設立する。サイクリングイベント「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」は、10万人を超える動員を記録している。

その後どんどんスポーツコミッションの輪が全国に広がり、2016年6月現在で93団体が設立されている。

参考:さいたまスポーツコミッションHP http://saitamasc.jp/

スポーツコミッションは時代のどんな役割を担うか

日本の課題 人口減少

日本の人口の推移について、今後の見通しのグラフを掲載。

人口の推移

(出典)2015年までは総務省「国勢調査」(年齢不詳人口を除く)、
2020年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」(出生中位・死亡中位推計)

全体として確実に減っていく。そして、緑の部分の15~64歳の働ける世代が減っていく、赤の14歳中学生以下の未来の世代も減っていく、65歳以上は人口としては変わらないが、人口全体が減少していくので高齢化率はどんどん上がっていく。これが日本の将来だ。

人口減少の問題を観光で補えないか

観光に関する取り組み

(出典)国土交通省観光庁「観光に関する取組について」

人口の減少は消費額の減少を意味する。人が少なくなれば、食べる量も、着る量も、住む量も、すべてが減少する。お金が回らない。

ひとつの解決策が観光だ。定住人口1人当たりの年間消費額124万円は旅行者の消費に換算すると外国人旅行者10人分、国内旅行者(宿泊)26人分、国内旅行者(日帰り)83人分に当たる。

世界の人口は増え続ける

日本とは対照的に、世界の人口は今後増え続ける。最初はアジアで、次にアフリカで。

世界の人口

SOURCE: United Nations Department of Economic and Social Affairs

外国人旅行者も増え続ける

観光立国日本、外国人旅行者も増え続けている。政府は2020年までに4000万人、2030年までに6000万人呼び込もうとしている。

外国人旅行者4000万人は定住者に換算すると400万人分の消費額。日本の人口1億2000万人のおよそ3%を外国人旅行者で生み出そうとしている。

外国人旅行者

出所:日本政府観光局 (JNTO) 発表統計よりJTB総合研究所作成

少し回りくどくなったが、以上が日本の人口減少と観光産業のお話。インバウンド、インバウンド!と言われる背景には日本の人口減少の問題があって、解決策のひとつとして観光に焦点があたっている。

日本全体においては、人口減少で観光で補っていこうというのが基本姿勢。

地方においては、スポーツコミッションで都市に来るスポーツ観光客を増やして、経済効果を生みたいという狙いがある。

インターネット時代の旅行の変化

スポーツコミッションが設立される大きな理由のひとつに、インターネットによる旅行形態の変化もあげられる。

インターネットの発達で、じゃらんや楽天トラベルなどのオンラインエージェントが成長した。じゃらんや楽天トラベルのいいところは、情報量がとにかく多く、温泉や料理や施設が一目瞭然で写真で確認でき、またほかのホテルとの比較が容易にできることである。

大量の情報が旅行者に与えられることで、個人の好みは多岐にわたり、個人や家族単位で行動・旅行する形態が増加した。これは一般の産業にも当てはまること。

よって以前のように、グループでバスを連ねて旅行するグループは一部の外国人のほか見なくなってしまった。グループ旅行は工程がまとめて管理できるので、利益率がいい。そして、効率もいい。そんなグループで旅行する集団がスポーツチームだけになってしまったということだ。

市レベルのスポーツコミッションでは、スポーツ合宿を誘致することに力を入れる団体もあるようだ。大きな大会でなくても、1チーム20~30名ほどのサッカーチームを4チーム集めて大会をすることで喜んでくれるホテルや民宿も地方にはたくさんあるだろう。

スポーツコミッションで飯を食えるか

市場は徐々に競争が激化

スポーツコミッションもどんどん増加し、スポーツを扱う旅行会社も増えてきたから、市場の競争は激化していると言って間違いない。

チームに営業する会社が増えている。当然と言えば、当然だが、スポーツの業界は大学や高校に営業してスポーツ合宿を獲得する風習など今までなかった。それよりも昔からの知り合いの中からスポーツ合宿の場所を決め、自らホテルや食事を手配することが普通だった。

これからはチームを都市間で奪い合う時代。競争は激化している。

スポーツ界は人脈が重要

スポーツコミッションで飯を食うには、どんどんスポーツチームを読んでくる営業力を備えているのが一番。

引退したスポーツ選手で、ビジネスマンに最初から仕事で勝てるとは思わない。

勝てるのは、選手の時に築いた人脈によって、スポーツ合宿やスポーツイベントを開催する能力。

スポーツ界は案外狭い。人脈を大事にする。先輩後輩の関係ならなおさらだ。

対戦相手をどんどん紹介することは自分の強みになる。

スポーツコミッションはセカンドキャリアで悩んでいるスポーツ選手の受け皿になる可能性は大いにある。

チームのスケジュールを把握しろ

スポーツコミッションのお客様は選手であり、チームである。

チームの大会や強化スケジュールを十分に頭にいれて、営業活動に挑みたい。

応援に行く 縁起をかつがせる

チームは勝つために合宿をしている。その成果を出すのは、大切な試合。

大事なチームであればあるほど、試合に応援にいく。勝つことは合宿地の成功でもある。応援にいくことでチームとの信頼関係も強化される。継続的に顔を合わせ、チームの状況を話したり、業界の話をしたり、基本的なことだが営業マンとしての基本活動である。

スポーツ選手はその人脈をもって、スポーツコミッションの核となりうる。新しいキャリアをスタートできる環境はあるだろう。

参考:スポーツ基本計画からスポーツの未来を探る

-ツーリズム

Copyright© スポーツで飯を食う , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.