営業のコツ 分解して考えてみる
スポーツスポンサーセールスのための商品は、目に見えるようで見えないものである。
競技によって構成要因は異なるがスポーツを商品として整理することで、スポーツの強みが見えてきて、深い洞察は提案力の魅力を高める。
スポーツは生身、心のある人間が行う。
人間である選手が行うからこそ、その選手の生きざま、姿勢、試合での振る舞い、好調不調の波、緊迫した状況でのプレー、観客はそれに自分自身を重ね合わせながら、一喜一憂する。
同じ人間だからこそ、優れた才能には敬意を払い、応援する。
スポーツは対戦相手がいる
スポーツは一人だけでは成立しない。
相手チームがいて、相手チームとの対戦で初めて成り立つ。
相手チームとの力が拮抗しているときほど、面白い。
相手が強ければ強いほど、ファンとしてはさらに応援をするし、強い相手に勝てば喜びは倍増するもの。
相手チームも試合の構成要因である以上、相手チームの魅力も商品力を高めるためにアナウンスできるし、サッカーであれば、J2のクラブは三浦和良選手が自分たちのホームスタジアムでプレーすることをアナウンスし、魅力を高めることも可能である。
自チームだけでなく、相手チームも売ることはできないか。
同じリーグに全日本王者のような選手がいて、その選手がリーグの魅力を高めることにつながっていないか。
スポンサー企業に試合がもっと魅力的であることを伝えるために、もっとわかりやすい、誰もが理解できるネタはないか、常に探す姿勢は必要だろう。
スポーツは勝ち負けがある
スポーツは明確である。
勝つか負けるか。引き分けもあるが、年間を通しては順位は確定する。
一般社会だとなかなかこうもいかない。
誰から見ても明確に勝ち負けがわかる事象も少ないし、第一、結果がOPENにされない。
勝ち負けがはっきりしているからこそ、勝者には勝者の論理が伝えられ、敗者は敗戦の弁を語る。ここがわかりやすい。
勝ち負けが誰から見てもはっきりしている以上、勝者のチームに関心と注目が集まる。注目が集まるからこそ、お金も集まる。
負けていて、その結果がメディアを通して、地域に発信されているときは、イメージや発信力を理由にしたスポンサー獲得は難しい。
1試合の結果だけでスポンサー契約は決まるわけではないが、チームは大事な1戦は勝ち続けていく必要があるし、経営者も人間あり、ビジネスの世界での勝利が絶対な人間が多いわけだから、負けることを許容しているチームには応援しないだろう。
チームの発信として、常に勝ちにいく姿勢は絶対に見せ続けなければいけない。
当然のことだと思うが、スモールチームの段階で負けに慣れていたり、勝利を渇望しなくなったチームは将来がない。
スポーツには観客がいる
観客もスポーツの構成要因の一つだ。
試合以外にも、音楽やイベントや演出、飲食など、観客を楽しませる取り組みが、観客の満足度を高める。
観客が一体となった応援はスタジアムの雰囲気を一転させ、スポーツの商品の魅力を高める。
企業からすれば、観客数=露出の機会だから、多ければ多いほど、魅力的な提案になる。
ただスモールチームの場合は、観客数も少なくてどうも売り物にはならないということもあるだろう。
こういう場合はある一定の層を強く集めて、その層を対象にした企業に売り込む方法がある。
高校生が多ければ、大学にスポンサードを提案できるし、女性が多ければ、化粧品やエステの会社に売り込みをかけられる。
全体としては少なくても、一部の層に特化して、スポンサー企業を集めることがこの場合のポイントである。
スポーツは結末が決まっていない
だからこそ面白い。
演劇や歌舞伎や映画やテレビは面白いが、あらかじめ意図された面白さだ。
安定度はあるが、爆発力はない。
ビジネスとしてこの点は扱い方が難しいが、筋書きのないドラマといわれるように、スモールチームだと年間2~3回は必ずビビッとくる試合があるものだ。
スポンサー交渉中の企業を招待して試合を観戦いただく場合もあるが、この試合は勝つ可能性が高く、爆発が起こりやすい試合を検討し、慎重にご提案するほうがいい。
その試合がどのような試合展開になるのか、今後の交渉に大きな影響がある。
そこで喜んでいただければ、スポンサー契約締結に前進する。
スポーツは一般の製品・商品と異なる点が多い。
商品特性を深く理解し、ほかの業界と差別化できる部分を提案できるようにならないと、お願い営業に終始し、長期的には大きな成果、スポーツ活動の継続には至らないだろう。