勝てる脳 負ける脳

スポーツを学ぶ

勝てる脳 負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること

選手がどうすれば勝てるのか脳科学の視点から学んでみる

スポーツには心・技・体という言葉があるように、すべてが揃って全力を出し切れてこそ、強い相手に勝つことができる。

「体」はトレーニングによって鍛えられるが、僕は「心」「技」の部分に最近注目している。

つまり、いかに鍛えられた体を、試合で使いこなせるかの部分だ。量と質の関係でいうならば、量は「筋力」、質は「心」「技」に当たる。

そして、「心」「技」の生かし方は、脳の生かし方にかかっていると僕は考えている。

そんなときアマゾンで人気がでている勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること (集英社新書)に出会う。

この本、過去の実験結果から証拠をもとに論じているので、個人的にはすごく勉強になった。

この書から学んだ知識

・手、指、唇の脳領域は極端に広いが、腕や肩、足首から上や胴体を担当する脳の部位は狭い。繊細な感覚や動きが必要とされる手・指や舌や唇は神経細胞を増やして動いている。

・脳の個人差はほとんどが後天的に与えられる。身体を動かすと必要な神経細胞の数も増えていく。脳は活動によって望む方向に変化させていくことができる。逆に使わなければ衰える。

・テニスのエキスパートがテニスのプレーをイメージしたときの反応は、ゴルフや卓球を想像したときよりも遥かに大きかった。テニスのエキスパートがテニスラケットを手にしたときに、脳内マップがテニスヴァージョンに変化する。

メンタルプラクティスのみでも脳内マップの変化が起こる。日々の練習の一環としてメンタルプラクティスを取り入れることで、肉体のパフォーマンスも向上する。

・練習を始めたばかりの初期段階では、意識や注意を司る前頭前野や前帯状皮質が活発に動き、運動が熟練するにしたがって筋肉の動きや感覚情報に関与する運動野や大脳基底核、小脳などが活発になる。熟練すると無意識できるようになる。

・能力を分けたのは厳しい練習の累積時間。明確な目標と高い向上心を抱き、「常に成長し続ける」べく、毎日練習することがエキスパートへの道。自転車を毎日2時間こいで通勤しても、自転車選手にはなれない。

・厳しい練習を日々続けることは困難を伴う。錦織選手は「先を見るよりも、ちょっとずつ前のゴールをクリアしようとしてました」とのコメント。ここに厳しい練習を日々続けることのヒントがある。

・ドーパミンは快楽や意欲を覚える神経伝達物質のひとつである。ドーパミンは食べ物や金銭などの報酬を得た瞬間だけでなく、報酬を予測したときにも大きく放出される。さらに勝敗が50%の確率のときや、予期せぬ報酬をえたとき、不確かな未来に希望を抱いたときなど、最も大きなドーパミンが放出される。

→強敵の相手に勝った時、サプライズプレゼント、講演会で素晴らしい話を聞いて未来に確信が持てたとき、ドーパミンがたくさん放出されているのだと思うと納得。

・思い込みがモチベーションを高める。アイスホッケーの選手は1~3月生まれが多い。学年が1月1日~12月31日で切られるために、数か月の成長の恩恵にあずかった選手は恵まれた環境を獲得しそのままプロになっていく。

・アスリートが反復練習を繰り返して特定の技を習得したあとは、その一連の動きは小脳や大脳基底核にプログラムされ、前頭前野は関与しなくなる。しかし緊張状態に陥ると、前頭前野が作用しプログラムの邪魔をする。

【対策】
常に緊張感のある中で練習する
長い間をとらず素早くプレーする。
パフォーマンスのことを考えずに、打つべきコースやターゲットのことを考える

心の傷はすぐに恐怖を取り除くこと。睡眠は意識が定着してしまうので、嫌なことは寝て忘れるは逆効果。

・トラウマには、ポジティブな精神状態に入るためのスイッチで対応する。

・最上級者が実際の対局で駒の位置を正しく記憶できるのは盤面上に一定の法則や前後関係を見出し、そこから物語性を読み取っていたからだ。名人はこれまでの経験やデータ、ありえるパターン、つまり「定跡」をもとに、複数の駒の位置関係をひとつの塊として記憶している。チャンギング理論。

→プロがプロたる理由がここにあると思った。経営者も、音楽家も、指揮者も、この成功の定跡を創ることで初めて、成功する行動と失敗する行動を見分けられるのだと思います。ここが一番感動したし、いろんなことがつながった。

まとめ

お勧め度 ★★★★★(星5つ)

データに基づいて、展開がなされている。根拠もあるし、説明も詳しいので、スポーツ選手で脳をうまく活用して活躍したい人には絶対にお勧めです。

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